写真月間のお話「写真と山と」

今週は私、クラフトマンの伊藤が、「写真」と「山」のことをお話ししていきたいと思います。


屋久島 早朝の縄文杉

一年半ほど前から、私は山登りを本格的にするようになりました。

はじめはたまに登りに行くくらいで、そこまで没頭してなかったのですが、次第に山に入りたくてたまらなくなってしまい、今ではほとんどの休日を山に費やしています。

それに伴い、山の写真を撮ることにも夢中になっていきました。そしてそれらの写真は、ほぼ毎日、最低一枚インスタグラムに投稿し続けています。

実は、ここまで写真を撮ることに夢中になったことは、大学に通って写真を習っていた時以来久しぶりのことでした。

当時はまだ、デジカメよりフィルムカメラのほうが主流だったので、モノクロフィルムの現像やプリントを習っていたのですが、暗室の中、静かな、セーフライトの仄暗い灯りのもとで、密かに行われるアナログな体験が、今でもすごく楽しかった思い出があります。

しかし、卒業後はパタリと写真をやめてしまいました。携帯や、コンデジで多少は撮ることもあったけれど、写真に対してのめり込む事はしばらくありませんでした。

時代は変わり2014年、ちょっとしたきっかけがあってインスタグラムを始めてみました。初めは投稿も気まぐれで、目的もはっきりしていなくてしばらくはダラダラと続けていました。

そんな折、2015年の今と同じ梅雨の時期だったかと思います。スタッフ同士で富士山に登ろうとの誘いをうけました。ただ、それまで登山なんてしたこともないし、正直、坂を登り続けてしんどいだけの何が楽しいのかわからなかったのが本当の気持ち。でも、人生一度くらい日本一高い山、富士山に登るのもいい経験になるかと思い、登ることに決めたのでした。

そしてその年の7月末、私は富士山頂に立っていたのです。
八合目の小屋から先、真夜中に登りはじめたとき、一気に空気が薄くなるように感じて、少し歩いては立ち止まりを繰り返していました。

そんなときに見上げた、一面濁りのない満天の星空。そして、山頂手前で迎えた、まるで天国に居るかのような御来光の瞬間。
これまでの人生で見てきた何よりも、幻想的で圧倒的な美しさの中に自分がいたのでした。


富士山 山頂にて

こんな光景、写真に収めるしかない。当時持っていたコンデジで、とにかく夢中で夢の光景を撮影をしていました。

この経験がきっかけとなって、山に登りたい、山での光景を写真に収めたいという、二つの強い欲求がふつふつと自分の中で湧いてきたのです。

次第に一人でも山へ向かうことも増え、カメラも防滴防塵防滴ミラーレス一眼を思い切って購入。そして、関西圏の山々から、アルプスの峰々、季節も関係なく雪の山へも登るようになり、加速度的に山へはまっていったのです。


大和葛城山 山頂での夜明け


白馬大池 お花畑


八方尾根より 雪の五竜岳と鹿島槍ヶ岳

今だとインスタグラムで、同じく山を撮影される投稿者の方々の写真をたくさん見られ、刺激になったり、同じ趣味の方とも繋がりやすくなったりと、実に面白い時代になったと感じます。このことも、山と写真を続けるもう一つの原動力になっているのかもしれません。

最後に、山といえば遭難事故がつきもので、山の高い低い関係なく、常に何かしらの危険をはらんでいるので(いつか熊にも出会うかもしれないし・・・)、山に入るたびいつも気が引き締まります。もちろん、自分の身を守るための対策もしたうえで。

山に入ると、暑くて、寒くて、虫がいて、風が吹き、雨に打たれ・・・、本当に色んなことを、直接肌に感じ取ります。

こう書くと、山へ一体何しに行ってるんだろうと思わなくもないけれど、その非日常の空間を楽しみ、ときには対峙して、それを越えた先にある何かを見たくて、今も山へと向かうのです。

そして、そんな山での体験をとにかく写真に残さずにはいられないのです。富士山に登ってしまったあの日から。

アトリエ・クラフトマン 伊藤