ギャルリ・キソウ企画展「卉の詩(キノウタ)」のこと

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記憶の深層にある森の風景。
本展のテーマでもありますが、私の中にもときおり頭の中を駆け抜けていく森の風景があります。

小さいころ、釣ったザリガニだったか祭りの屋台でお迎えしたカメだったか
「家では飼えないから、自然に返そう。」
と家族でどこかの森のどこかの池に行った記憶があります。
そこにはたくさんの魚や亀、鳥のかたちをした光、
そして、大きなワニがいたのです。
きっと記憶の中で作り替えられた風景なのかもしれません。
ちょっと怖くて、でもその先に行ってみたい探求心と
家族みんなで過ごした記憶の集大成のようなその風景は今も消えずにふとした瞬間に現れます。

そんな話を作家の方々にしていると「私もあるある」って笑。
それぞれの中にも大切にしている秘密の森があることを知ったのです。
今回、感覚のまま、本能のまま、とても自然なつながりで集まった森の住人たち。
誰かの「手から産まれるモノ」をたどるときどこかの記憶の根がからまっていることがよくあります。
どこか地中でそのからまった根がつながりこの森はできたのだと思います。

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地下に在る小さな森では作家ごとのブースはありません。
灯すような薄暗い光の中、みえにくい、みつけにくい作品もございます。
木々は空間のディスプレイではなく共に森をつくるものでこちらもお買い求めいただけます。
当日お持ち帰りいただける作品と会期終了後のお渡しの作品とがございますが、
売約済みの作品については近くに小さな金色のかけらが置いてあります。
少しわかりくいですが、キソウ(卉奏)の名前の由来のようにもろもろの草が奏でる小さな音に耳を傾けながら点在する森のかけら探しをお楽しみいただければと思います。

日々変わり続ける森の中でみなさまの森もまた呼応しますように。

「卉の詩(キノウタ)」のページを更新しました。
作家のことや音楽会、出張アトリエのこともぜひご覧くださいませ。

名前を忘れられた小さな森の主 シノハラトモユキ