これからの創作やお店のこと

卉奏の創作家の篠原です。
これからの創作やお店のことについて、いくつかお知らせがあります。

[オンラインストアについて]

■定番でいつでもオーダーいただけるというスタイルをやめて、
「〇月の創作」というかたちでそのときにお届けしたい創作を月ごとに展開していきます。
発売予定の創作物については月末にブログでお知らせしていきます。
(ブログ掲載の創作物以外はすべて未定となります。)

ご要望の多い手帖カバーやカメラストラップはいまのところ毎月販売を予定しておりますが、数量限定となり基本的には同じ月の中での再販はありません。
「12月の創作」をUPしました。

アクリュ製品のカスタムオーダー、または過去に販売していた製品のオーダーについてはオンラインストアでは受けつけしておりません。
このような世の中の状況で心苦しいのですが、カスタムオーダー(アクリュ・ビスポーク)については店頭のみとなります。
こちらは以前からお断りしておりますが、度々お問合せがございますためあらためて記載させていただきました。


[卉奏の店舗について]

今年は新型コロナウィルスの影響もあり、営業日を減らし、
ご来店についてもアポイントデーを設けご予約制にてお店を開いています。
おひとりおひとりに作品や作家、お店のことを丁寧にお伝えできる今のスタイルがしっくりきておりましてこのまま続けていきたいと思っています。
予約制で躊躇される方も多くいらっしゃるかと思いますが、小さな森の風景を観に行くような気分でお気軽にお申込みください。

12月19日~27日の期間、造形作家haruによる作品展「舟跡」を開催します。
こちらはアポイントなしでご来店いただける日もございます。

ご予約についてはコチラ

 



[創作物の変更点について]

アクリュのカメラストラップ「カシェ・レッタ for LEICA」
ライカの多くのカメラにワンポイントでついている赤いロゴに合わせて一部パーツを赤色で創作していますが、ブラッククロームやモノクロームなどのモデルに合わせたオールブラックもお受けできるようになりました。
(ご注文の際に備考欄に「オールブラック希望」とご記入ください。)

 

篠原智之創作の「朔浮かべ」
真鍮のうつわとゴトクがセットになった茶香炉はSとMがあり特にMサイズはポットウォーマーとして使われる方が増えています。
ポットの形状にもよりますが、より安定して乗せていただけるようにうつわのカーブを少しゆるやかにしました。
また、ゴトク部分は以前より深みのある黒染めになりました。

 

 

 

 


 

 

ここからは創作について今の思いを。
長くなってしまったので…お時間があるときにでもぜひご覧ください。

僕は自身の作家活動(金属や革や木やガラスをもちいた創作)のほか、
アクリュ製品のデザインや創作、写真や映像の創作、
卉奏のお店の企画(展示や食卓や演奏会など)、
外部でも空間演出などのお仕事をさせていただいています。

もしかしたらオンラインストアストアをご利用のお客様の多くは
卉奏って?
アクリュって?
篠原って?と思われているかもしれません。
それぞれが「手から産まれる創作物」のプロジェクトです。
そのどれにも深く携わっている、もしくはひとりで動かしているため何かを動かすには何かを止めなければならないこともあります。
創作でたくさんの方に喜んでいただきたいという気持ちと良くも悪くもご要望にお応えしずぎていっぱいいっぱいになってしまう自身の性格もあって、ふと気づくとバランス感覚を失ってしまうことがよくありました。
もともと僕は金属のアクセサリーから創作をスタート、
その後、好きな写真をより身近にする道具として寫眞機をいつも身につけて持ち運べる革のカメラストラップが産まれました。
発売当初からたくさんオーダーをいただき、さまざまなメディアに取り上げていただき本当にありがたいことではあったのですが、気づけばキャパをオーバー、アクセサリーを創る時間すらとれず「カメラアクセサリー屋さん」と呼ばれることも多くなりました。
さらには経営や企画で手一杯で創作は職人にまかせっきりになることも多くなり
アクセサリーどころが自身の手で産みだすことさえ少なくなってしまいました。
一般的な会社経営では成功で正解なのかもしれませんが、やっぱり僕は自分の手で産み出し続けたい人間で大きな規模の会社を動かすには向いていない人間なのだと切に思いはじめました。

もう一度自分の手から産まれる創作をはじめたい。
そんな思いから卉奏をはじめるタイミングで創作家としての活動を本格的にスタートしました。
新しくお店をはじめてからネットでは
「迷走している。」と書かれたこともあります。
しかしながら創作の活動をはじめてから一度も迷ったことはないんです。
頭の中はつねに創りたいものでいっぱいです。
移転前のお店で創ることができたものはその頭の中の1パーセントほど。
まったく違う創作やお店をはじめた(ように見える)ら迷走しているように思われるかもしれませんが、僕の中ではずっと以前から頭の中にあるつながっている世界です。
装身具も暮らしの道具も寫眞も造形作品も、どれも手放せないのは欲張り…
かもしれませんがやはりどれも大切でどれも作用し合っています。
いつかそれらをひとつの風景としてお見せできたらと思います。

ようやく本題ですが…
来年度より個人の創作はもちろんアクリュプロダクトの創作もほぼ一人で担ってまいります。(一部の製品はここから産まれるアトリエメイドと外の職人さんにお願いするファクトリーメイドとで分けて展開していきます。)
職人の旅立ちがきっかけではありましたが、自分にしか創れないものをより追求・挑戦していきたいという気持ちが大きくなってきたこともあります。
この数年さまざまな創り手や音楽家、料理家の方とご一緒してここで大切な風景を共に創ってきました。
「組織」ではなく「個」に還る決心をしましたが、
「個」と「個」で産まれるものの可能性は今も無限とも感じていて、
その時々で大切な方々と大切な風景をこれからも産み出していきたいと思います。

何かを動かすことは何か止めることでもあって、それは誰かにとっては歓びで誰かにとっては残念なことかもしれません。
限られた生産量でより手に入りにくくなるものや廃盤になるものも出てくるかもしれませんが、均衡を保てる範囲で今の創作を続けていきたいと思います。

迷走したことはないと書きましたが、ずっと走りっ放しで迷うことや疑う余裕さえなかったとも言えます。
今はとのかくこの場所で創ることが楽しくてたまりません。
たまには立ち止まっても手だけは止めることなく創作を続けてまいりますのでこれからの活動も見守っていただけるとうれしいです。

とっても長くなってしまいましたが(これでもずいぶん文章を削ったのですが…)ご覧いただきありがとうございました。

卉奏 篠原智之