1人暮らし、夫婦暮らし、家族暮らし、それぞれの暮らしのなかでのうつわ。
写真家だからこその目線で暮らしの中のうつわを見つめます。


和田藍が語る「器と暮らし」

その3
木のうつわ、それは自然の良さを感じる器




木の器。

漆器が重宝されていた古来にはじまり、
日々の器をして親しまれてきた木のうつわ。

そっと添う口当たりのよさは格別で、
乾きもよくて、なにより丈夫で扱いやすい。

ガンガン使って、ごしごし洗っていい。
ちっとも、びくともしない。
この安心感と使いやすさは陶磁器、ガラスとは
比べものにならないくらい強い。

だからついつい手が伸びてしまうんだろうな。

それに、どんな食材、料理とも相性がいいし。

海のもの、地のもの。そして木。
それはきっと 自然 というところで
強く、深く、つながっているからだと思う。

フォークやスプーンのあたりがいいのも
私が個人的に大好きなところ。
木のうつわでサラダを食べて、
カッティングボードでカンパーニュをガシガシ切る。

金属音もなく、やさしい感触。

この安心感と心地のよさはほんと、大きい。


木が今まで生きてきた証、
木目の流れを大切にされる松本寛治さん。

松本さんの手がける木のうつわたちには
とても強い自然のパワーを感じる。


そして今日も、
木の豆皿にナッツを入れ
濃いめのコーヒーといただく。

ホッとくつろぐひととき。




小林奈々美が語る「器と暮らし」

その3
陶のうつわの魅力




うつわは好きだけど作家買いはしないので
今回の展示を企画するまで実は安藤さんのことを全く知らなかった。

そんなことを言ったら失礼なのだろうけど
ずぼらな自分が手にとるなら
”名”にこだわらずに
気兼ねなく毎日ガツガツ使える使い勝手の良いものがほしい。
なのに買ってしまった安藤さんのお皿。
一目惚れだったのです、運命ですやん。

我が家では「レモン、レモン」と呼んでいるこの形。
凛とした空気のある
佇まいが美しいお皿。

それはもう、それはもう
毎回つかうのに緊張する。言ってることと逆やん。。
だけどそれが良い。


○○さんが育てた野菜を買っちゃおう
ほんのちょっと丁寧に料理をしよう
すぐに洗い物をしよう

そんな風に少しピンと背筋が伸びる感じがして
安藤さんのお皿を使った日は
時間がゆるやかに過ぎていく気がする。

焼きなすにする予定の青なすさんが
汗をかいている姿に夏を感じた。
いよいよ、いよいよ夏だ。




シノハラトモユキが語る「器と暮らし」

その3
河上智美さんの器のこと




河上さんの器をはじめて見たときに感じたのが
「器が光の像を投影している」でした。
器自体が光を放っている感覚ではなく、
光がガラスを通って露光され、また別の像を焼き付けている、そんな感覚でした。
それはいただく大切な命の最後の遺影のようにも見えました。
なんて書くとちょっと大げさでしょうか。
でも、僕は革という命をつないでいく仕事をしているので、
この命をいただき、尊重するという感覚はとても大切なことだと思っています。

ひとつとして同じ像がないのは、
ひとつとして同じ命はないから。

忘れていはいけない感覚が
河上さんの器にはつまっています。




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